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高杉<徒然①>

58巻もまだ1回しか読めてませんが、本誌で読んでいた時よりずっと苦しかった。高杉晋助が失ったものとは何だったのか、前よりもずっとずっと重いものとして映っています。言葉としての師、仲間、同志というだけではなく。なぜ「世界を壊す」というのか。この言葉の真意はまだ明かされていないけれど、そこに至った、今ある彼を形づくっていったものがなんだったのか、自分の中で整理つけるためにも、つらつらと記したいと思う。もうすでに苦しい。漫画を読んで涙が浮かぶくらいに苦しんだの久しぶりかもしれない。

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高杉にとっての同志とは≫
 紅桜篇で似蔵が銀時達を指して「同志」という言葉を使い、高杉に一蹴されますが、少なくとも<昔は仲間(同志)だったけど、今はそうではない>という意味での否定だと捉えてました。ヅラも銀時も仲間ゆうてましたから。でも、高杉にとっては今も昔も銀時やヅラは仲間とか同志というくくりじゃない。「全然別々の方向をみていた」が、まさしくその言葉のままの意味だったんだなあと思うようになりました。
 高杉は幼少から、因習に縛られる「侍」というものに疑問をもち、侍とはなんなのかを考えくすぶっていた。そして1つの道筋を示してくれたのが松陽先生だった。衝撃だったと思います。下級武士とはいえ、武家社会というものを肌身で感じていた高杉だからこそ余計に。そして「それぞれの武士道(侍)」という言葉のその先に、鬼兵隊を組織した。これは、高杉の志、侍というものの体現だった。鬼兵隊こそが真に、高杉の同志だったのではないかと思うのです。

鬼兵隊の喪失≫
 高杉、銀時、ヅラと比較して、決定的に違う部分がこの鬼兵隊の存在だと思います。そしてそれを、幕府の寝返りという最悪の形で失ってしまうのです…志そのものを殺されてしまうのです…これ…松陽先生を2回殺されたようなもんです…銀時やヅラとは違う絆をもっていた鬼兵隊を、深い繋がりを持っていた仲間を…惨い形で失ってしまうのです…(2回目)…そして、自分だけが、自分だけが、生き残ってしまうのです…(高杉の絶望を思うと、言葉にならない…筆舌尽くしがたい) 腐った世界ゆうてますが、一番許せないのは、殺してやりたいくらいなのは、無力だった自分自身だろうという事実…。憎い自分を自分で殺すことは、容易い。でも、高杉は自分では死ねない…死ぬわけにはいかなかった。鬼兵隊や先生の命でもって生かされた命を自分で捨てるわけにはいかなかった。そして、銀時の仇である自分が、自分で死ぬわけにはいかない。雁字搦め…(絶句) 自分を許すことも、許されることも望んでいない。「鬼兵隊という名を捨てるわけにはいかない」といって、すべてを抱え込んで、生きながらにして地獄の業火に身を灼かれ続けている。

村塾は同志や仲間というより家族や兄弟に近い≫
 のではないのかと。多感な幼少~少年期を過ごした場所、一緒に過ごした3人。みなしごの銀時にとっては松陽のいるところが帰る場所、天涯孤独の身となった身寄りのない小太郎にとっても、家族はいれども性分ゆえ居場所がなく彷徨っていた高杉にとっても、村塾が帰る場所だったと思います。んで、高杉少年が年相応になれたのが村塾だったんじゃないかなとか。あんなに朗らかな笑顔を見せることも、高杉家では無かったんじゃないかなと(涙)。
 てんでバラバラの方向をみてても、好きとか嫌いとかを超えた繋がりが、良くも悪くも家族、兄弟ってものにはありますよね。それが疑似家族でもなんでも。なにかそんな、理屈ではない繋がりが、絆が、村塾っ子にはあると。
 攘夷戦争に参加したのも、志云々とか、武士道とか、侍云々とかいう御大層なものではなくて、大切な先生を取り戻す(帰る場所を取り戻す)という結束が生まれたからだと。だから、高杉にとって銀時もヅラも同志じゃない。そして、松陽先生を失ったあの日から、この絆こそが3人を苦しめ続けているんだ…。

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まだ…まだ…足りない…そして何もまとまっていない…

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Author : 春眠
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